高校生の留学はアリ?大学時代の留学、ワーキングホリデーとの違いについて
子供の留学ってアリ?ナシ?いくらぐらいかかるんだろう??
世界の各国から日本に訪れる観光客や留学生の数が増えています。観光地は連日多くの外国の方を見ますよね。また、企業ばかりかスーパーなどでも外国人労働者が増えていると実感することが多くなっていると思います。国際感覚を身に着ける方法の一つとして留学を検討する方も増えています。
今回は留学のタイミングと意義の違い、おおよその費用についてご紹介します。
近年の留学者数について
日本から海外に留学する人数は2000年ごろまでは増加傾向にありましたが2004年の約83,000人をピークに減少に転じています。2013年では約55,000人にとどまっています。
出典:平成28年3月31日文部科学省「日本人の海外留学者数」及び「外国人留学生在籍状況調査」等について「日本から海外への留学者数の推移」
原因の一つに日本人学生の留学意識が低いことがあります。日本の高校生大学生の意識調査で留学をしたいとは思わないという割合が半数になります。その他、親の経済事情が要因になる場合もあります。
留学期間は短期化傾向
出典:[日本人の海外留学の状況]平成28年3月31日文部科学省「日本人の海外留学者数」及び「外国人留学生在籍状況調査」等について「留学期間について」
留学には1カ月程度のプログラムから約10カ月の長期プログラム、また海外の大学に入学して卒業までの期間を過ごすなど様々な留学スタイルがあります。
現在では1ヶ月未満の短期の留学をする学生が増えています。
留学費用について
留学に必要な費用については使うプログラム、期間によってずいぶんと違ってきます。
留学の主な手段と費用の目安をご紹介します。(プログラムにより本当にまちまちです。ご紹介金額は最も安い場合と思ってください)
●通学学校の留学プログラムを利用する
大学の場合、提携校と交換協定がある場合が多く、学費が不要か格安で留学可能ですが、英語力や既定の成績をクリアしている必要があります。
ただし、生活費や渡航費は自費になり単位の認定が受けられるものと受けられないものがあります。
(例)アメリカへの交換留学 期間1年
150万円~
滞在費の目安10万円/月 x 12か月+往復航空券費用(20万円~) 保険費用(84,000円)
学校からの奨学金が適用されれば50万円の補助制度あり
●エージェントを利用して留学
基本的にかかる費用としては海外の学校の学費+ホームステイや寮などの滞在費+航空機などです。
(例)アメリカ・ 留学エージェントの指定校に11か月滞在(食事、滞在費込)を予定
→2,520,000万円(為替レートで変動の可能性あり)
●ワーキングホリデーを利用
ワーキングホリデーとは二国間の協定に基づいて、青年(18歳~25歳または30歳)が異なった文化(相手国)の中で休暇を楽しみながら、その間の滞在資金を補うために一定の就労をすることを認める査証及び出入国管理上の特別な制度である。原則として、各相手国ごとに一生に一度しか利用できない(出典:wikipedia)
ワーキングホリデーはオーストラリアやニュージーランドなどのイメージがありますが現在日本では韓国、フランス、ドイツ、デンマークなど11か国と協定しています。
制度を使う利点は現地で働けるため結果として留学費用が抑えられることです。
(例)ニュージーランドへ1年間のワーキングホリデー
滞在費4万円/月x12カ月+生活費5万円/月x12カ月+航空券約20万円
収入の目安は時給1000円程度月に100時間(1日5時間x週5日)働けば10万円の収入が得られますが、就労できるまでは数カ月かかる場合もあります。また、ワーキングホリデー期間に語学学校に通う人も多く、その場合は語学学校の費用(10万円/月)も必要です。
●高校生交換留学
高校生もエージェントや学校のプログラムを使って留学する方法がありますが、公益財団法人の交換留学で留学する方法もあります。
英語の試験がありますし、希望の国に留学できるとは限りません。保険は自費ですが、プログラム費用にすべて含まれます。ホームステイ先から現地高校へ通います。
(例)アメリカを含む世界17か国のいずれかに派遣 10カ月滞在
145万円 (傷害保険は含まれない。出発空港(成田)までの交通費は自費)
高校生の留学は「アリ」「ナシ」?
高校生の留学の主な目的は「異文化交流」です。外国で生活をすることで真の意味の「国際感覚」が耳付きます。しかしデメリットもありますので、高校生の留学のメリットとデメリットを紹介していきます。
デメリット1.受験に不利?
大学受験は準備が必要です。高校3年生で留学をしてしまうと、たとえ休学をしても帰国が高校3年の7月になってしまいます。(進級を希望すれば帰国後すぐ卒業手続き)約半年で受験準備は不可能ではありませんがスケジュールとしては厳しいと言えます。
デメリット2. 留学≒英語が上達
高校生留学の主な意義は国際交流です。語学留学と思っている方は認識を変えた方がいいかも知れません。高校生で留学する場合は語学力が上がると期待しても目に見えるほどの成果が出ない場合があります。こと日本の受験英語で評価してしまうと向上する子もいればそうではなく逆に下がって(下がったように見える)場合もあります。
英語圏に留学すれば絶対的な単語量は増えますし、英語での授業で実力もつきますがそれが日本の受験英語の問題傾向にあっているとは限らないからです。
また、英語圏以外の国に派遣されると日常英語を使う頻度が下がりますので「忘れて」しまいます。
ただ、コミュニケーション能力は非常に上がりますので日本人の不得意とされる「話す能力」は英語でもその他の外国語でもアップします。
メリット1.留学期間の単位が認められる
文部科学省は長期の留学プログラムに参加した学生は進級単位(30単位)を認めていますので、学校長が認めれば休学、留年することなく入学学年の友人と一緒に卒業することもできます。(学校が進級を認め、本人が希望する場合)
メリット2.適応力が大人より優れている
高校生は大人のような偏見が少なく、異文化への溶け込みも早いです。言語を含めホームステイ先への順応も早く、素直に成長していきます。
異なる価値観を頭で理解するのではなく体得していくイメージです。
留学は短期?長期?
これは、個人の考え方や状況にもよりますが、子供を留学させた経験者としての立場でいえば長期のほうが得るものが多いと思います。
留学経験の本人いわく「最初の3カ月は何とかなる、我慢すればいいし分からなくても周りが許してくれる。でもそれ以上は「何とかしなくてはならない」場面ばかりになる。つらい。」といいます。
ホームステイ先でも学校でもトラブルや喧嘩は発生しますし、その時に我慢だけでは対処できないので「どうしたい(どうして欲しい)」を伝えなければいけなくなります。短期留学なら旅行気分でやり過ごすことができても長期であれば真の意味で自分を理解してもらう事、相手を理解することが必要になってきます。子供の人間内面の成長を帰国後に感じる場面が多くありました。
準備期間を含めると留学終了までに2年以上が必要
長期の交換留学を希望する場合前年度(5月から開始10月ぐらいまでの期間で複数回試験実施)に募集をして何度かのオリエンテーションを経て翌年出発になりますのでかなりの準備期間も必要になります。短期留学とはそのあたりの準備期間も異なってきますので少しでも興味がある場合は、資料をすぐに取り寄せて調べるなどしていく必要があります。
留学で挫折をする子供もいますし、業者とのトラブル事例もあります。
留学を本人が希望して、状況が許せば保護者ができる事は業者選びやプログラムを慎重に精査することです。
興味のある方は各学校などにも資料が届きますし、中学3年生で交換留学の試験に合格できれば高校1年夏から10カ月の留学、2年生の6月に復学できますので大学受験の準備期間としても十分にあります。
本人が留学に行きたい!という場合には少し考えてみるのもいいかも知れません。
参考サイト:
http://www.kansai-u.ac.jp/Kokusai/pdf/H29spring_exchange.pdf
https://ryugaku.kuraveil.jp/
http://yfu.or.jp/abroad/