総合人材サービス、パーソルグループのパーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」は、社会課題解決を仕事にしたいが、踏み出せていない20歳~49歳のビジネスパーソン1,051名人を対象に「ソーシャルセクター (本調査では社会課題の解決を目的としたNPO・NGO・ソーシャルベンチャーを総称したもの) での理想の働き方」を調査し、「ソーシャル・ワークスタイル レポートvol.1」としてまとめました。
今注目で希望者の多い ソーシャルセクター での理想の働き方に関するアンケートを まだソーシャルセクターに勤務していない15.1%の人の中から性年代別に抽出した1,051人を対象に、ソーシャルセクターでの理想的な働き方の調査を実施したところ、多くのビジネスパーソンが、生きがいや社会の役に立ちたいという理由でソーシャルセクターでの勤務を希望しながらも収入面での不安を抱えており、正社員だけではなく副業やボランティア、さらにはリモートワークといった、多様化する働き方にあわせた勤務形態を望んでいる実態をご報告いたします。
本調査に向けた事前のスクリーニング調査では、8,449人中、約3割の人が「社会課題の解決」に取り組むソーシャルセクターや一般企業のCSR部門などで社会課題解決を主目的にすでに働いている、もしくは働くことを希望するという結果となりました。そのうち、就業意向はあるもののまだソーシャルセクターに勤務していない1,051人を対象に本調査を実施いたしました。
本調査にてソーシャルセクターで働きたい理由を訪ねたところ、「生きがいを感じる(感じられそうだ)から(54.7%)」がトップとなり、続いて第2位「社会の役に立ちたいから(44.7%)」、第3位「視野を広げたいから(30.2%)」となりました。また第四位には「同じ意識を持った人と交流したいから(18.1%)」もランクインしました。
また、ソーシャルセクターで働くとしたら、どのような点を重視するか。 という質問に対しては、「活動の目的や内容に賛同・共感できる(59.4%)」と1位に、次いで「信頼できる役員やスタッフがいる(44.8%)」「運営基盤がしっかりしている(44.0%)」となっています。
生きがいや社会への貢献を理由に、ソーシャルセクターを希望していることがわかります。
ソーシャルセクターでの仕事を希望しながらも、ソーシャルセクターに仕事として関わっていない理由を尋ねたところ「収入面で不安があるから(50.4%)」がトップになりました。また「きっかけや機会がないから(35.6%)」や「収入以外の待遇面での不安があるから(24.4%)」などを訴える声が集まりました。このことから、ソーシャルセクターに対して「やりがいがありそうだと感じながらも、収入面での不安」を抱えるビジネスパーソン像が浮き彫りとなりました。
ソーシャルセクターでの希望する働き方を尋ねたところ、「社員・職員として(44.1%)」がトップとなり、続いて「副業として(28.0%)」、「ボランティアとして(22.6%)」、「プロボノとして(5.0%)」が続く結果となりました。
また転職にあたり、その際の収入条件をあわせて尋ねたところ、収入が減ってもかまわないと答えた人はわずか12.1%(総計)という回答結果となり、同レベルの収入を選択した人が30.7%でトップという結果となりました 。一方、「現在の収入よりも3割以上多いことを希望する(22.2%)」など、収入が多いことを条件にあげる方もいます。
働き方が多様化し、副業を希望する方が多く、収入の減少は望まないという思いがわかりました。
ソーシャルセクターで希望する理想の働き方で副業(28.0%)を選んだ301人に、副業を選択した理由を尋ねたところ「収入も重要だから」という回答が46.1%で最も多く、理想の副業時間への割り振りは、「今の本業にプラスして数時間、副業にあてる」という回答が45.2%で最も多くあがりました。また、本業の時間は減らさずに、副業の時間を別途確保する意向の人が、過半数を超える全体の67.2%をも占める結果となりました。
理想の働き方(場所)として、近年話題化しているリモートワークを希望する人が多く、特に自宅でのリモートワークが83.8%も占める結果となりました。
この結果から、副業として働くことで本業での収入を確保し、また本業には影響を与えずに休日や帰宅後などに仕事を行おうとするソーシャルセクターとの関わり方の理想像が浮かび上がったと言えます。
ソーシャルセクターでの希望する理想の働き方でプロボノ(5.0%)を選んだ51人に、プロボノを選択した理由を尋ねたところ「自分の成長につながると思うから(50.2%)」「自分のスキルを社会でもっと活用したいから(45.7%)」といった回答が上位を占め、高い専門性スキルを社会に還元したいという、前向きな意識が調査結果としてあらわれていました。
また、理想の働き方でボランティア(22.6%)を選んだ258人は「自分にスキルはないが、貢献したいと思うから(35.2%)「自分の成長につながると思うから(25.4%)」という回答が6割以上を占め、こちらも前向きな意識が明らかとなりました。
事前のスクリーング調査では、8,449人中、ソーシャルセクターで働くことを希望する人が約4人に1人という結果になりました。ただ、多くのビジネスパーソンが、生きがいや社会の役に立ちたいという理由でソーシャルセクターでの勤務を希望しながらも、収入面での不安を抱え、関心はあっても踏み出せない実態であることも浮き彫りになりました。多くの人が社会課題解決を仕事にすることに関心を持つ世の中になりながらも、収入面という現実的な制約条件で自分らしく働くことに躊躇していると言えます。
今回の調査で特徴的だったのは、ソーシャルセクターでの希望の働き方で、副業を希望する方が約3割と多数いたこと、また、勤務形態として自宅でのリモートワークの希望が第1位となったことです。近年、「働き方改革」や「副業兼業解禁」、NPOやベンチャー企業への留職を推奨する企業が登場するなどの新しい働き方が広がりつつある中で、ソーシャルビジネスへの関わり方も一層多様化しています。こうした背景を受け、これまでソーシャルセクターで働くことに二の足を踏んでいた方々が、その不安を「働き方」によって解消し、参画を模索しているとも言えるかもしれません。
上述の通り、依然として「給与が低い」というイメージの強いソーシャルセクターですが、世界的にみると、さまざまな国際的な団体が行動と実績積み重ねることで、職員が能力に応じた報酬をもらうことができる、またはもらってもいいという社会的合意が形成されつつあります。
日本においても、ソーシャルセクターや企業が中心となって参画したい人々の受け皿となる柔軟な「働き方」を創造し、また、行動と実績を通じて「ソーシャルセクターの給与」への社会の理解が進むことで、社会課題解決を仕事にしたい人たちにとって「自分らしく働ける社会」が一層実現していくと考えています。
2002年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。
人材紹介事業に従事。法人営業として企業の採用支援、人事コンサルティング等を経験した後、キャリアアドバイザーに。転職希望者のキャリアカウンセリングやサポートに長年携わる。担当領域は多岐にわたり、これまでに支援した転職希望者は10,000人を超える。
その後、キャリアアドバイザーの総責任者、法人営業部隊も含めた地域拠点の総責任者などを経て、2017年より現職。営業本部長、事業部長を歴任し、2019年10月、執行役員に就任。
社外にてJHR(一般社団法人人材サービス産業協議会)キャリアチェンジプロジェクト、ワーキンググループメンバー、SHC(公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル)理事にも名を連ねる。
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