図書館のせいで本が売れない?図書館サービスについて考えてみる
出版業界の不況の一因は図書館で新刊が貸し出されるからなの?
日本図書館協会が毎年開催している「全国図書館大会」で、大手出版社の社長が図書館の新刊貸し出しサービスを一定期間猶予するよう求める発言があり話題になっています。
図書館の貸し出しサービスについて、本好き、図書館ヘビーユーザーの一個人の立場ですが考えてみました。
図書館のせいで新刊が売れない?
本の販売額の推移
書籍の売り上げ推移グラフを見ると1996年に約1.1兆円の売り上げがあったのをピークに減少傾向にあります。
2012年には8000億円を切るレベルになり現在も減少を続けています。
図書館の貸し出し数の推移
こちらの方は1980年から右肩上がりの推移を見せています。
書籍売上ピークの1995-6年には4億冊、近年では7億冊を超える年もあります。
出版不況の一因に図書館サービスが関係していると、言うことのようです。
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図書館サービスは向上している
ユーザーの実感として、確かに図書館サービスはびっくりするくらい向上している。
自治体によりサービスは異なると思うが少なくともワタシが暮らす地域の市立図書館では、図書館OPACK(Online Public Access Catalogの略です。図書の検索サービスで自宅のパソコンから図書館の蔵書検索、予約もできる。)で、同じ市内の他の図書館の蔵書もすぐに調べられ、また近所の図書館に取り寄せができるので、予約をかけておけばいい。予約した本が受け取り図書館に届くとメールが来るので受け取りに行くのみでよくなった。
また、新刊もすぐに購入される。予約が集中すれば(時には予約だけで50件以上)入っているのだが、図書館の対応策なのかその人気本は追加購入されるようで蔵書数が増えている。
それに、どうしても読みたい本は購入希望を出せばたいていの書籍は数カ月待つにせよ、購入してもらえる。
ユーザーとして気になる問題点
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人気本の必要以上の蔵書
どの人気本も、半年もすれば普通に書架に並ぶようになる。人気本なので一定数定期的に貸し出し需要はあるにしても人気の本なのに書架にあるということはなんだか本がかわいそうなのだ。
HOW TO本が古い
最近レンタル会社と公立図書館の提携で問題になりましたね。
一時よりは減ったのですが情報が古すぎて使えない手引書、試験対策、HOW TO本はまだ時々見る。
一般の人が読める基本的な専門書が少ない
新書よりも少し硬めの、もうちょっと専門的な本が読みたい時がある。
これが、少ない。需要も少ないのは分かるのだけど図書館は調べる場所でもあるのだからもう少し充実していてもいいのではと思うときもある。
絵本を新しくしてあげて!
絵本は幼児が読むので傷むのは仕方ないのだ。本は大切に読まないといけないけど、それでも大人がめくるのとは違うのだろう。修理をしてあげるのも必要なのだけど、買い替え対応もしてあげるべきなんじゃないかな?と思う。
出版不況は事実としてあるようだ
作家に原稿料が支払われない事態が
2014年には作家柳 美里さんが出版社から原稿料を支払われないことを理由に連載を休止したという事例もあります。
柳 美里さんと言えば芥川賞も受賞した人気作家のひとりです。
原稿料の支払いが滞っていたことに関して出版社も認めており、支払いができない理由としては赤字の累積と次に出版する本が売れないと支払いができない、というものでした。
電子書籍、高いぞ!
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電子書籍はダウンロードひとつで読めるのでとっても便利だ。海外でも日本の最新刊がすぐに読める。が、いまいち普及していないよね。
電子書籍が普及しないのは出版業界にも問題があると思うのだ。価格設定が間違っていないかい?と思うわけ。現在は紙の本との価格差200円程度のものが多い。それならワタシなら間違いなく紙を選ぶ。
バーゲンで100円の電子書籍なんてのもあるけど、中古本は100円本も珍しくないから魅力が薄い。
文庫版が出た小説だと電子書籍と文庫本は同じ値段なので、いったい何の値段なのやら素人には分からない。(きっと何か電子書籍にもコストがかかるのだと想像はしますが)
もうチョイ安ければ!できれば半額、少なくとも3割以上の価格差)があればもっと普及すると思うのだ。
出版社の「新刊貸し出し猶予」には様々な立場で考えもあるだろうが個人的には賛成だ。
日本の場合図書館が無料で使えるのだ。出版業界がつぶれてあっという間に共倒れになるくらいなら一定期間まってから読む、どうしても早く読みたければ購入するのも致し方ない,と思う。
どういった理由にせよ、面白い本が常に新しく発行され続けるように。それを多くの人に楽しんでほしいと思います。