「口臭 が ひどい のは酒やタバコをたしなむおじさんの方が多い」そんな固定観念が崩れ去る調査データが明らかとなりました 。
例年6 月 4 日~ 10 日の期間で実施される 「 歯と口の健康週間 」 の活動の一環として 、 歯周病予防の権威・若林健史氏と総合歯科医療商社モリタなどが立ち上げた「ブレス・ハザードプロジェクト」 が 全国 47 都道府県 ・ 4700 人を対象とした口臭ケアに関する意識調査と 、 首都圏 214 人を対象とした口臭測定調査を行いました。 その調査結果をもとに 『 口臭白書 2019 』 が作成 され、 日本人の口臭ケアの現状と課題についてまとめられました 。
『 口臭白書 2019 』 は日本人の、 口臭に対する 「 ケアの意識 」 、 および 「 口臭レベルそのものの実態 」 について体系的に調査 ・ 整理することで 、 日本人の口臭ケアにおける現状や課題を明らかにすることを目指しました 。都道府県別の口臭意識の高さのランキングや、日本人の口臭ケアの現状が記されていますよ!丁寧な調査の中、明らかになった実情の中から、今女性が気になる「口臭」の実態についてご紹介します。
他人と接する中で相手の口臭が気になるシーンを聞くと、「仕事の打ち合わせをしているとき」(69.6%)が最も多く、日本人の7割が仕事中の口臭問題に直面しています。にもかかわらず、仕事関係で口臭を指摘できる相手は「同性の上司や先輩」(8.6%)、「異性の上司や先輩」(6.1%)、「同性の部下や後輩」(5.0%)、「異性の部下や後輩」(2.4%)と1割以下と少なく、大半が指摘もできず我慢するしかない状況に陥っています。
前述の相手の口臭が気になるシーンで、「デートをしているとき」に口臭が気になるのは全体で39.1%でした。これを男女別に見ると、男性32.5%に対し、女性は45.7%が気になると答えています。中でも30代女性は50.6%と、2人に1人がデートのときの相手の口臭でイヤな思いをしているのがわかります。
また、 キス頻度が高い人は、基準値オーバー比率が低いという結果も出ており、口臭は 夫婦・恋人間コミュニケーションにも大きく影響しているものと思われます。
『口臭白書 2019 』 調査によると 、 口臭測定スコアにおいて基準値 口臭測定スコア 50 をオーバーした人の割合が 、 男性8.3% に対し 、 女性は 17.9% と 、 女性の方が 2 倍以上の割合に上りました (図 1) 。性年代別に見ると(図 2) の通り 、 「 中高齢層の男性 」 9.3% に対し 、 「 若年層の女性 」 11.5% となり 、 「 中高年の男性より若い女性の方が 『 口臭がニオ う 』 」 という意外な事実が明らかとなりました 。
また、 より口臭スコアが深刻なのは 、 40から60 代の 「 中高齢層の女性 」 で、 基準値を超えた人の割合は 24.1% と圧倒的に多く 、 約 4 人に 1 人 が基準値オーバーと いう結果になりました 。
「女性の口臭が深刻な事態」この原因について、歯科医師の若林健史氏は「口臭の原因である歯周病のリスクが、男性に比べ女性の方が高い」という点を指摘します。「口臭には一時的に臭いが発生する『生理的口臭』と、主に口腔内の疾患や汚れに端を発する『病的口臭』があります。
病的口臭の原因となる歯周病は、女性ホルモンの分泌量の変化が、口腔内の血液循環やプラーク中の細菌に影響を与える関係で、女性の方がより罹患(りかん)リスクが高いのです。特に①:思春期 ②:妊娠・出産期 ③:更年期の3つのタイミングで高まりやすいとされています。今回、女性の方が口臭基準値をオーバーした人が多かったのも、この“女性特有の”歯周病リスクと少なからず関係しているのではないでしょうか。
仕事に家事、子育てと男性以上に日々の用事に追われ、心身の状態を気づかう余裕もなかなか持ちにくい女性。健康はもちろんのこと、対人関係にも大きな影響を及ぼす「口臭」についても、実は男性以上に、一層適切なケアが求められるといえるでしょう。
女性の口臭リスクが高まる時期と原因
①:思春期……ホルモンバランスが変化しやすい時期。月経のたびに歯ぐきが腫れやすくなる
②:妊娠・出産期 …… 女性ホルモンが細菌の一種、プレボテーラ・インテルメディアの発育を促進、出血を起こしやすい状態に
③:更年期 …… 更年期症状の一分症としてホルモンのバランスが崩れ、歯周組織が変化し、歯周病症状が悪化する恐れ
口臭にはいくつかの種類がありますが、大きくは「生理的口臭」と「病的口臭」の2種類に分類することができます。
生理的口臭は、起床時や空腹時、食事の後など一時的に口臭が強くなるもので、時間の経過とともに減少します。
病的口臭は、呼吸器系や消化器系の病気などによるものもあるが、多くは歯周病など口腔内トラブルが原因です。
多くの人が悩んでいる口臭ですが、歯科医や歯科衛生士の診察・指導を受けている人は極めて少ないのが現状です。
今回の口臭ケア意識調査では、日常的に行っている口臭ケアに関して「歯科医の診察を受ける」と回答した人は、全体のわずか5.1%にとどまりました(図3)。多くの人々にとって「口臭=自分でケアするもの」であることがうかがえます。
熱心にセルフケアをしている人は口臭の値も低いのか? その実態を探るべく、1日の歯磨き回数別に、口臭測定スコア基準値以上の比率を比較しました。すると1日の歯磨き回数が少ない「1日2回以下」は12.0%、回数が多い「1日3回以上」は14.2%となり、むしろ回数の多い人の方が基準値オーバー比率が高いという結果になりました(図4)。このことからも、口臭ケアにおけるセルフケアの限界がうかがいしれます。
主に歯周病など口腔内トラブルが原因で発生する病的口臭は、自己流のセルフケアだけでは解消できず、歯科医に通院して治療を受けることが必要といわれています。
若林氏によると、歯周病の有無を問わず、できれば3ヶ月に1回程度のペースで歯医者さんに通うことが、理想的な口臭ケアであるといいます。「もちろん、いま現在歯周病にお困りの方は、その治療に取り組まないと口臭は絶対に治らないですし、いまは目立った口腔内トラブルがないという人も、定期的な通院によって歯をクリーニングしたり、歯科衛生士からケアに関する指導を受けていただきたいと思います」
病的口臭の発端となるのは、歯磨きの際の「磨き残し」が原因で生じる歯垢です。“磨き残しゼロ”を目指して、時間をかけて丁寧に磨きたいものですが、どれだけ上手に歯を磨いている人でも2割程度は磨き残しが生じるといわれています。 「歯を磨く際の癖や骨格・歯並びによって、十分に磨ききれない部分が生じます。いくら時間や回数を増やして熱心なセルフケアを行っても、一歩間違えた方法でケアしてしまうと口臭リスクは低減しません。そのため、歯科衛生士の指導のもと、ご自身の歯磨きの癖や課題を把握することが有効となるのです」
「ブレス・ハザードプロジェクト」 は自身や周囲を悩ませる口臭、そしてその原因となる口腔内の疾患リスク等を「ブレス・ハザード(Breath Hazard)」と銘打ち、そのケアに関する正しい知識の啓発を通じて、“口臭大国・ニッポン”の汚名を返上し、国民一人一人の健康でさわやかな口腔環境に貢献することを目指しています。 今回の 『 口臭白書 2019 』 は、 「ブレス・ハザードプロジェクト」の一環 で編纂されました。
「ブレス・ハザードプロジェクト」プロジェクトメンバー
若林 健史先生
日本大学客員教授、日本歯周病学会理事・専門医・指導医、日本臨床歯周病学会・認定医・指導医。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。
1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。
https://wdental.jp/
株式会社モリタ
1916年に歯科医療器材の輸入商社としてスタートし、2016年に創業100年を迎えた歯科医療総合商社。歯科医療機器の販売から開業・経営コンサルティング、医療情報提供まで行う。歯科医療機器卸国内でトップシェア(56.2%※)を占めるリーディングカンパニー。
https://japan.morita.com/
※『歯科機器・用品年鑑 2019年版(29版)』参照
株式会社タイヨウ
創業以来、一貫して生体ガス測定システムの分野で、医療に携わるすべての方々のためにお役に立てるよう専門機器の開発に従事。医療機械及び健康開発機材開発・製造、販売および、理化学機器の開発・製造、販売を行う、生体ガス測定システムのパイオニア企業。
http://www.t-taiyo.com/
※実態調査では、同社の口臭測定器「B/Bチェッカー Oral/Breath Gas Detector mBA-22」を使用しています。
2019年5月29日にはオフィシャルサイトも開設しています。こちらのサイトではさらに詳しい解説、都道府県別の口臭意識のランキングなど気になる情報を掲載していますよ!
男性よりも女性の方が口臭の基準数値オーバーが高い!キスと口臭の関係など、『口臭白書2019』には気になる情報が満載です。
口臭ケアの実態、情報などまずはチェック!ぜひ、定期的な歯科医受診で正しい口臭ケアをしてくださいね。
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