選択肢が多いのはいいことなのか?
人間は選択肢が増えるとかえって決められなくなるらしい。
今の世の中、お買いものだって男だって自由に選んでいい。なんでも手に入る世の中ですよね。
たくさんの種類から選んだ方がいいものが手に入る!それは本当なのかな??
極端回避性
突然ですが人がお買い物をするときと複数のもので迷うと中くらいのものを選択する性質があります。
これが極端回避性と呼ばれる性質です。
一番いいものを選べばいいのに…と思いますが、「高いものを買って後悔をするよりは…、安いよりはちょっといい方が無難だろう」という心理からです。
お寿司屋さんには松、竹、梅なんてありますよね!統計を取ると竹を注文する割合は6割、松と梅はそれぞれ2割のひとが注文します。
(価格設定でデータは変動しますが、ざっくりいうとそんな感じ)
出典:写真AC
人の決定はすぐに変わる
お買い物のシーンを思い出してみてください。
だいたいどれも同じくらい気に入っている商品や生活用品で自分にこだわりのあまりないお買いもの(生活必需品や家電を買うシーンがいい例かも)では安いものでいいかな?なんて思いますよね。
でも商品の事がわからないからつい店員さんに相談します。するとお店の人は「最新機種」をすすめてきますよね?
ついでに一番安いものがちょっと不便だという情報も教えてくれます。
最新機種は高いからやっぱりやめるけど、でも一番安いのもお店の人のサジェストもあってついもうちょっと高いものを選ぶ。なんてよくあります。
が、実際の自分の生活では店員さんの言うような「不便」なシーンはなかった。なんてこともね。
こういう風に人間の決定はすぐに変わるものだというのです。
行動経済学と経済学
先ほどのお買い物の事例は「行動経済学」という学問で実際の消費者の行動についての例です。
経済学は昔からある学問ですが、経済学の中の人[経済人」はとっても合理的で判断力があり経済的に自分にとって最も有利なものを完ぺきに選べることを前提にしています。
一方「行動経済学」では生身の消費者がどういった行動をとるか?ということを研究しています。経済学に心理学を加えたような学問で実際の消費行動はどういったものかがわかります。
選択肢は多い方がいいのか?
今はたくさんの商品を比べることができる時代ですよね!
経済学だとその人にとって選択肢が増える事はプラスの要素です。最善のものを即座に選びそれが完璧なのだから当然選択肢が増えるとより良いものを選べる可能性があるわけです。
が、行動経済学では選択の増加はプラスに働くとは限りません。
人間個人が収集できる情報は大した量ではありませんし、それが自分に理解できるか、また、実際に使ってみないと分からないからです。購入後も「もっといいものがあったのでは?」などの葛藤もうまれます。
選択肢が増えるほど買えなくなる
買ってしまった後に別のサイトでちょっと安いものを見るとひどく損をした気分になります。
すると、「もしかしたらもっといい物があるかも!安いものがあるかも!」「もうすぐセール!」と商品を見るばかりで実際の購入はしないまま…ということも起きます。
また、迷っているうちに購入意欲がなくなることもあります。
「口コミ」サイトが増えるわけ
後悔なくお買い物をしたい!と皆さん思っているわけです。すると[決め手」がほしいですよね!
たくさんの口コミサイトがもてはやされるのは、はこの消費者の心理が働いているからです。
さて、行動経済学はもっと深い学問ですが今回は”さわり”の部分のご紹介でした。
選択肢が多くて決められないというのは近年の非婚率にもつながるのかな?と思っています。
出典:pixabay
いいかどうかは別として、結婚は〇歳までにするもの、見合いにしても知り合いに頼むという慣習は外圧となって「決めなきゃ」という心理が働きます。するとなんとなく(じゃない人もいるけど)これ!って決めちゃいますよね。
ただ、婚活サイトには「あなたの条件に合う人」だけ見ても100人規模で出る場合もあります。この中で一番自分が気に入る人!この人じゃないかも!もっといい人いるかも!なんて迷っているともう頭ン中ごちゃごちゃになりそうです。
自己責任、選択肢の増加は却って選べないというのはなんだか納得できますね。
参考図書:「マンガ 行動経済学入門」友野典男著 出版社PHP