「あなたがもし残酷な100人の村の村民だと知ったら」で今の日本を知る
日本の問題点を分かり易く紹介している本。
ずいぶん前に「世界がもし100人の村だったら」という本がベストセラーになっていたのを覚えていますか?
「世界がもし100人の村だったら」の原案は1990年、アメリカの女性学者ドネラ・メドウス教授によって世界の状況を100人(もとは1000人)に例えて解説した内容で簡潔で分かり易いため日本でも2001年にブームになりました。
この本がベースになったのかどうかは分かりませんが、現在の日本の経済状況を100人の村に例えた本が出版されました。
貧困、格差、人口問題
現在日本が抱えている問題がわかり易く書かれているだけに、ひどく恐ろしく感じます。
え?こんなにひどいの??と内容を疑いたくなるほどです。
正規雇用と非正規雇用の間の収入格差、それぞれの雇用形態にまた男女の格差があります。
少子高齢化の問題も35年後にはますます深刻化することがこの本からもわかります。
働く人口、子供の人口はともに減少するのに老人人口は増加します。
出典:pixabay
働く女性にとって残酷な村
この村(日本)は働く女性にとってとても生きにくく残酷です。母子家庭のほとんどが生活が苦しいと感じています。
子供の貧困率は現在でも深刻な現状ですがこれも増加傾向にあります。
人が幸せに生きるために必要なものは?
著者はお金も大切ですがそれ以外にも大切にするべき資本があると教えてくれています。
「自分資本(自分自身)」と、「人間関係資本(他の人と知見を共有し高めあう事)」、そして「お金資本」のバランスを今の価値観から変えていくことが大切だということが書かれています。
それができないとお金を持っていても不幸であったり、貧乏であることそのものが不幸であったりすることから抜け出せません。
出典:pixabay
その他第3部では筆者の持論も紹介されています。
実現をすることができるのかはなかなか難しい部分もあると思うのですが内容は読みやすく、また中学生くらいでも今の日本の経済状況を知るには理解しやすい内容だと思います。
読後には、著者の最後のメッセージ「何も持つな、身軽になれ」の言葉が重く感じられます。
本の内容を丸ごと書くのははばかられてなかなか伝わりにくい紹介記事になってしまって申し訳ないのですが、ある意味「世界がもし100人の村なら」よりも実際の自分たちの身近な経済や社会の内容ですのでぜひ読んでいただきたい一冊です。
書籍:『あなたがもし残酷な100人の村の村人だと知ったら』 江上治・著