お盆の習慣、きゅうりとなすのお飾りについて

お盆に飾るきゅうりとなすってかわいいよね？あれなんて言う名前か知ってる？ お盆に飾るきゅうりとなすのお人形、かわいいですよね。子供のころから飾っていた！という方もいれば、最近テレビで見て知ったという声も聴きます。そこで今回はこのちょっとコミカルなお供え物について改めて解説しますよ！

お盆のキュウリとなす、お飾りの名前は？

キュウリとなすに割りばしやつまようじを指して作るお飾り、正式名称は「精霊馬（しょうりょううま）」です。地域によっては「しょうりょうま」「お盆馬」とも呼ばれ、主に関東地方でお盆に飾る習慣があります。

なぜキュウリやナスを使うのかについては、明確な理由はないようですが、夏場どの家でも手に入る農作物だったためいつのまにか広まったようです。また、現在では脚に割りばしや、つまようじ、マッチを使っていますがもともとは「おがら（麻幹）」を使っていました。おがらは表皮を向いた麻の幹で中は空洞になっています。麻は日本では太古から神聖な植物とされており、燃やすことで悪霊を祓うことができるといわれていました。そのため、同じお盆の習慣である迎え火・送り火をたくときにも使われるんですよ！

作り方は？キュウリが馬でナスが牛？

写真を見れば一目瞭然。ヘタを頭に見立て、キュウリとなすの適当な場所に足となる棒状の木材を差し込むだけです。曲がったキュウリとなすを使った方が、表情豊かな精霊馬ができます！キュウリで作ったのが馬、ナスで作ったものが牛です。なるほど特徴をよくとらえているように思えますね。
近年では、馬は足が速いからお迎えの時はきゅうりの馬、牛はゆっくりなので帰るときにはなすの牛に乗る、といわれているようですが、これも地方によって違うようです。キュウリの馬はご先祖様がのる乗り物、なすの牛は荷物を運ぶための車で、行きも帰りも牛と馬はいっしょにやってくるというお話もあるようです。

飾る期間と飾った後は？？

関東地方では精霊馬は迎え本の13日に作ってお供えし、16日の送り盆に下げるのが一般的です。しかし、キュウリの馬でお迎え、なすの牛で送る習慣のある地域では13日にはキュウリだけを、16日になすだけを飾り、両方1日飾ったらその日のうちに下げるなど、飾り方もまちまちです。
ただ、飾った後に供養するのは共通しています。飾った精霊馬は食べてはいけません。供養のしかたは川に流す、送り火で燃す、清めの塩と一緒に土に埋める。などなど。方法は違えど、ご先祖様を送ってきてくれた精霊馬には感謝の気持ちで供養します。

精霊馬は簡単にでき、飾るとちょっとかわいいですよね。宗教行事ではありますが、もし本来の仏教でなくとも子どもたちと一緒に亡くなった家族やご先祖をしのび、思い出話をしながら作ってみるのもいいかもしれませんね。