超短時間労働「プチ勤務」の注意点
プチ勤務が女性の活躍につながるために。
最近主婦やシニア向けに募集をしている超短時間労働「プチ勤務」、慢性的な労働力不足の企業と社会とのつながりを求める既婚女性をつなぐ新しい働き方として紹介されています。
プチ勤務とは
一日の労働時間1時間から3時間、自分の働きたい時にだけ働ける新しい勤務形態として各種求人サイトが主にサービス業で募集をしています。
ランチタイムのみとか、開店前の2時間などだけ勤務することができます。
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働きたくても働けない既婚女性にアンケートを取ったところ時間的な制約(始業時間、終業時間)が理由に挙げられるそうです。
また、シニア層は社会とのつながりと働く喜びを得たいが長時間労働は体力的な問題たあると敬遠、プチ勤務を望んでいらっしゃるとのことです。
さて、ワタシ様々な業種、いろんな形態で働いてきたのでこのプチ勤務に近い一日4時間勤務週4日の仕事を経験している。自身の経験からプチ勤務については、ちょっと疑問を抱く部分もあります。
問題点1:社会保険はもちろん、労働保険未加入の場合も。
プチ勤務ではどんなに頑張ったって既婚女性の場合は夫の扶養範囲内を超えることはないので社会保険(健康保険、年金)に入れなくても問題ないかもしれないが、労働保険、失業保険も加入できなかった。もし通勤中にけがをしても何の保証もないのだ。そして何年働いても失業時の保障もない。
問題点2:勤務時間≠拘束時間
勤務地までの通勤時間、着替え、etc…を考えると「プチ」であればあるほどロスタイムの割合が増えます。
極端な話、1時間勤務だとたとえ職場まで通勤が10分だとしても5~10分前に職場で準備を済ませるためには勤務時間の開始30分前には出かけないといけないですよね?往復だと出勤時間から終業後の帰宅まで最短2時間…拘束時間で時給わると半分になってしまう。
問題点3:保育所に入れられない
保育所に入るにはパート勤務でもOKだが、この勤務時間では自治体によりますが「居宅外労働」とは認めてもらえません。
幼稚園に通っていれば教育費として当然出ていく支出にしても有料一時保育を使えば家計的にマイナスになる場合もある。
ただね、この問題点は「働きたい!」と強く願っている最中の女性にはあまり大きな問題とはとらえられない。なぜなら、お金よりも重要な「生きる意味」が見いだせなくなる時期が人によっては出てくるからだ。
働ける喜びと感謝を感じる嬉しさ
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働かずに自宅にこもっているとある種の閉塞感を感じる時期があります。
ベイピー抱えたお母さんなんて(一部の男性は言うかもしれないが)「ありがとう」なんて言葉も無縁、ひたすら地味でひたすら忍耐、でも体力だけは結構必要で単調な生活。雑誌に載っているキラキラ輝くキャリアママと&しっかりキャリアを積んでいる同世代の友人たちに比べ、自分の置かれた状況のギャップに悲鳴をあげたくなる瞬間もある。
単純労働でもいい!一時間でもいい!認めてもらえるなら働きたい。と、思う。
ワタシ自身がそう思い、近所のコンビニの平日シフトを近所の友人が辞めるときに紹介してもらった。子供は近所の保育園の一時保育をしばらく利用した後に入園を認めてもらえたので恵まれていたと思うが、保育料のほうがパート代より高い時期もあった。
コンビニで働き始めた初日、温めたお弁当をお客様に渡した時に「ありがとう」を言われて涙が出たのは今でも忘れられない。あの時の自分は確かにせっぱ詰るような閉塞感の中にいたので、「収入<保育料」という計算すらできていなかった。
やりがいから疲弊へ
最初の1年はひたすらうれしいばかりだった。時々無理なシフト変更だって急な休日出勤だってそれを理由にオットに「子供とふたりっきりで終日ひたすら家事に追われる家庭の状況を理解してもらういい機会だ!」と思っていた。
でも、家事が苦手な(やる気がない)男性はどのような状況でも一切家事には手をつけない。シフトの変更で自給がプラスされるわけではない。コンビニと言えども一年も行ってればそれなりにアレコレ任されるようになるが平日昼間の最もいい時間帯で働くパート女性の時給は安いし、短時間勤務のパート主婦の時給は上がらない。
月に4万円はあったに越したことはないし仕事の内容は嫌いではなかったが、2年目には自分が労働力として「使い捨て」の人材であることに気が付く。
おそらくコンビニのオーナーもそんな意識はないし、オットにしたってできないものはできないのだから期待をされても困るのだろうが自分が「だれてもいいだれか」と意識すると急速に単純労働への疲弊感は増していく。それでも3年以上そのコンビニで働いていたけどね。
ワタシの場合はたまたまその後1年かけて新しい仕事を見つけることはできた。それにしたって1年更新の短時間労働だし、唯一単純労働ではなくなっただけだ。
現在プチ勤務を希望している女性やシニアのインタビューを見ていると過去の自分の姿と重なる。
働き始めた喜びでキラッキラなのだ。
企業もメリットを感じるからプチ勤務を「素敵!」と宣伝してある程度の需要もあるから成り立っているのだろうが、
プチ勤務でもきちんと社会保障があること、そこで働く彼女らが短時間でも積み上げていく技能や才能がきちんと評価を受け、長時間勤務を希望したときにはそれに応じることやキャリアとしてある程度認め、正規の雇用につながるような社会になってほしいと思うのです。