イクメンを襲うパタニティー・ハラスメントと育休の現状
イクメンパパが育休取得するむずかしさとは?
パタニティ・ハラスメントという言葉がここ数年聞かれるようになりました。
主に育休を取得する(しようとする)男性に対する嫌がらせの事です。
男性の育児参加の現状について。
パタニティは父性という意味
”paternity”は父性を意味する英語です。女性の”maternity”(マタニティ)の対語になります。
マタニティも妊婦を表す言葉であると思われがちですが、母であること、母性、母らしさというのが本来の意味になります。
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育休取得率の実態
女性の育休取得率
近年では女性の育休取得率は80%から90%と言われています。この数字自体にもからくりがあります。
働いている女性が妊娠した場合、出産前後を機に離職する割合が50%以上、つまり育休取得前に既に仕事を辞めざるをえない人が半分いて残りの半分の中でようやく80%の女性が育休を取得していることになります。
男性の育休取得率
男性の育休取得率でいうと2014年で2.3%、その中の6割以上は2週間未満の短期間の取得です。
育休を望む男性は50%以上いる
東京都の男女雇用平等参画状況調査(2011、12年度)によると、育児休業を取得したいと回答した男性は52.5%もいました。
取得できない状況とは?
こんなにいるのに実際に取得できない主な理由は、職場の雰囲気、上司の無理解、代替要員がいない、などがあります。
実際に育休相談を上司にした男性は上司から「帰ったら席がない」や「育児は仕事を休む理由にならない」という言葉をかけられたという体験談が聞かれます。
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経済的にも困難
出産半年以降に常勤で就業、復職する女性は2割程度です。この女性に代わって男性が休業してしまうと多くの家庭では収入が大きく減ります。
政府も休業開始から6カ月間の育児休業給付金を67%に引き上げ、休業前の手取り賃金の約8割が支給されるようにすると対策を取っていますが、これも残業手当や諸手当部分の底上げ部分がなくなるので育休手当をもらっても実際の家計にとってはかなりの収入減になります。
子育てにはお金がかかります。育休取得はキャリアとして認められるべきですが上司によっては人事的にマイナス評価を受ける可能性もあり、もしそうなってしまった場合将来の収入にも影響を与えかねないのが現在の日本の企業の実態です。
一時的な所得減もつらいですが、将来の減収になる恐れがあるのならば避けておく方が無難であると判断する人が増えるのも理解できます。
育児は長い目で見るしかない
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ベイビーは生まれたら育休期間を過ごせば楽になるわけではありません。保育園に行っても学校に行っても育児は続きます。
体力的に楽になったら今度は教育費の問題が出てきます。(日本の高等教育(高校、大学時期の教育費)の家計の圧迫率は世界でも群を抜きます。)
育休にも目を向けて社会的に受け入れて行かないと出生率は上がってこないでしょうが、家庭という個別の観点から見る場合は子供たちを大人になるまできちんと成長を見守り育成していくために自分たちがどうするべきか、を短期目線ではなく長期的にとらえて夫婦で話し合っていく必要があると思います。