若い女性に増えている「くすみ肌」なぜ若年化?その要因とは?
若い女性にも肌の悩み「くすみ」。生活習慣の変化が要因のひとつ?
女性にとって美しい肌のキープは美容上重要な問題のひとつです。しわやたるみ、くすみなど肌の衰えは加齢とともにひどくなったとしても、何とかして食い止めたいものです。そしてそのために女性は、日々お肌にいい食べ物や生活習慣を心がけています。しかし、最近では若い女性の中にも肌の「くすみ」で悩んでいる人が増えてきています。今回は、お肌のくすみの原因、なぜ若い女性にお肌のくすみで悩んでいる人が増えているのか、その要因について説明していきます。
そもそも「くすみ肌」って?
くすみ肌とは、赤みやツヤ、透明感が少なかったり肌の形態でできる陰影で、肌色のトーンが下がった肌のことです。顔にくすみが出ると、顔色が冴えず疲れている印象を与えたり、実年齢より老けて見えてしまうこともあります。また、肌の柔軟性が失われるため、表情が硬くこわばった印象を与えてしまいます。
肌のくすみがあると・・・
肌くすんでいると、疲れて見えたり実年齢より老けて見えるなど、女性にとっては看過できないお肌の症状です。しかし、くすんできたからといって、ファンデーションで隠そうとするとさらに老けて見えることもありますし、また、それが原因で肌にダメージを与え、より肌が暗くなる症状が進む原因になったりします。
若い女性にも「くすみ」を感じる人が増えている

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くすみは、加齢による肌の悩みと考えられがちですが、若くても肌はくすみます。実際に肌がくすんでいることを自覚している20代女性は少なくありません。
調査によると、「とても感じる」「やや感じる」を合わせると20代女性の53.6%が肌のくすみを感じています。それもそのはずで、くすみをもたらす原因には、摩擦や乾燥、睡眠不足などがあり、若くてもなかなか避けて通れるものではないのです。
しかも、くすみは顔全体に広がっている問題なので、くすみ肌は、その人全体の印象をも左右しがちです。「あなたのお顔の様子についての周囲の評価」を尋ねた調査では、「疲れたように見られる」「血色が悪いように見られる」「元気がないように見られる」といった回答がありました。これらはくすみに関連する諸症状としても現れますので、もしかしたら、自覚はないものの肌のくすみが起きている女性が存在しているのかもしれません。
それでは、くすみの要因についてもう少し詳しく見ていきましょう。
くすみが発生する主な3つの要因

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1995年に日本化粧品工業連合会が提示した定義案では、くすみの主な発生要因を「メラニンの増加」「角層や肌表面の凹凸」「血行不良」とされています。要因は一つだけの場合もありますが、要因が複合的に重なることでくすみが発生していることも多いため、対処をしても改善に結びつかないことも女性たちの悩みを深くさせています。
くすみの主な発生要因①「メラニンの増加」
メラニンは、角層から基底層にかけて分布している黒っぽい色素で、増えると肌色がくすんでしまいます。メラニンは、刺激から肌を守る成分でもあり、過剰な光や摩擦などの刺激があると防御反応として増加するものです。古い角質はメラニンを多く含んでいるので、ターンオーバーがうまくいかずに角層が厚くなることでも肌はくすみます。
メラニン増加の原因としては、日焼けや摩擦による刺激、加齢などがあります。さらに、酸化した皮脂や汚れが刺激になってメラニンを誘発することもあります。
くすみの主な発生要因②「角層や肌表面の凹凸」
キメの乱れや肌に凹凸があることで、陰影の差が均一でなくなります。こういった微細な陰影が視覚的なくすみを引き起こします。
荒れてめくれた表皮や、ターンオーバーの乱れにより古い角質が排出されずに積み重なった角質肥厚では、屈折率が変化して光がきれいに反射しないために、暗くくすんで見えてしまうのです。
角層や肌表面が凹凸する理由は、酸化した皮脂や汚れが刺激になって角層が厚くなることです。また、乾燥による肌荒れで小さな陰影ができてしまい、全体的にくすんだり、角層のにごりがでたりします。
くすみの主な発生要因③「血行不良」
肌の色を決定するものの1つが血色素です。血色素とは赤血球の中にあるヘモグロビンのことで、主に酸素の運搬の働きがあります。血行が悪いと皮膚表面まで栄養や酸素が行きわたらないために、赤い血色素が少なくなって、肌が青っぽくくすんで見えます。そして血行不良で顔が青っぽいと不健康な印象も与えかねません。また、眼精疲労による血行不良は目の周りのくすみの原因の一つです。
長い目で見ると、血行不良によってターンオーバーも遅れ、他のくすみを発生させる要因にもつながります。
血行不良には、睡眠不足、貧血、冷え性、自律神経の乱れなど様々な理由があります。
「くすみ」の原因は、現代女性の生活習慣

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近年問題になっているのが、若い女性の新型栄養失調です。仕事が忙しくて食事の時間が後回しになったり、体型を気にしてダイエットをしたりするうちに、摂取カロリーも必要量を大きく下回っています。その他にもスマホや夜ふかし、一日中のエアコン使用など、現代ならではの生活習慣で、血行不良や肌の乾燥を引き起こし、肌をくすませる要因になっています。
若い女性は特に注意!間違ったケアや栄養失調による「くすみ」も!
ウォブクリニック中目黒 総院長で皮膚科医の髙瀬 聡子先生のお話では、来院する若い女性患者さんにもくすみ肌が増えていると感じていらっしゃるようです。肌のくすみのある女性たちの中には誤った洗顔や角質ケアをやり過ぎていて、その後の保湿をあまりしていないために、乾燥して肌から透明感がなくなっているのではとのことでした。
また、近年若い女性に多い新型栄養失調も、くすみ肌の増加と関係があると指摘しています。細胞を作るためには栄養が必須です。コンビニ食や菓子パンだけで食事を済ませるような食生活では透明感のある健全な肌を作ることはできないのです。
髙瀬 聡子先生プロフィール

皮膚科医・ウォブクリニック中目黒 総院長
東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学付属病院で皮膚科勤務を経て、2003年、自身のスキンケアブランド「アンプルール」を立ち上げ。2007年美容皮膚科クリニック「ウォブクリニック 中目黒」を開院し、総院長を務める。日本美容皮膚科学会会員、日本皮膚科学会正会員。
くすみの「ある」「なし」には境界がない
日本化粧品工業連合会のくすみの定義案では、肌のくすみは「顔全体または眼のまわりや頬などの部位に生じ、肌の赤みが減少して黄みが増し、また肌の‘つや’や透明感が減少したり、皮膚表面の凹凸などによる影によって明度が低下して暗く見える状態で境界は不明瞭である」としています。不明瞭で境界がないぶん女性はより不安を感じ、「もしかしたら?」と思い、焦って対処したくなりますよね。でも、そのケアが間違っていれば、くすみを助長する結果も招きかねないのです。
お肌の健康はすべての世代の女性にとって気になるものです。しかし、若い女性は「肌」のケアだけに注目するのではなく、生活習慣や栄養バランスにも気を付けることで本来の若々しいツヤのある肌をキープすることを心がけてくださいね!