子どもの日のお飾り事情 小さめ武者飾りや室内用こいのぼりが人気!
ゴールデンウィーク中の伝統行事といえば「端午の節句」です。最近ではこどもの日と呼ばれることが多くなりましたよね。また、男の子の成長を祝うというよりも、すべての子どもたちのお楽しみイベントとして家族でお祝いをする色合いが濃いようです。また、住宅事情からか、庭やベランダのこいのぼりもあまり見受けられなくなりましたよね。今回は、端午の節句のお飾りの意味合いと、近年のお飾り事情をご紹介します。
端午の節句のお飾りといえば…

出典:写真AC
端午の節句に飾るものといえば、こいのぼり・武者飾り・兜などでしょう。数十年前までは大きな庭のあるご家庭では5月になると数メートルもある布製のこいのぼりが立ち、集合住宅でもベランダから1メートル程度のこいのぼりが各家庭で飾られていました。また、床の間には鎧飾りや、金太郎の人形なども並べられていましたよね。これらは、男の子が強く成長するようにという願いが込められていました。
こいのぼり
こいのぼりの原型が日本で始まったのは江戸時代の中期といわれています。江戸中期以前には、通常ののぼりに武者絵や鯉の滝登りの図柄を書いたものを立てていましたが、のぼりの付属品である「まねき」と呼ばれる小旗が風にたなびき横に吹き流される様子が空に魚が泳いでいる様子に見えたのか、鯉のデザインにしたのがこいのぼりの始まりといわれています。
江戸時代、日本には真鯉しかいませんでしたし、滝を上るのも真鯉ですのでしばらくの間はこいのぼりといえば、黒い真鯉一匹に5色の吹き流しが付いた簡単なものでした。現在の様に家族で色分けをした4~5匹のこいのぼりができたのは昭和に入ってからになります。
武者飾り
武者飾りといえば鎧や兜飾り、またこれらをまとった武将の人形ですが、当然これらは武士が使っていたものです。江戸時代以前は武家だけの習慣として、自身の命を守れるように、兜や鎧を奉納したり、屋内に飾る習慣がありました。
しかし、時代が平和になった江戸時代中期、庶民は武家の習慣をまねることが流行し、鎧兜をかたどった物を飾り子どもを厄災から守り、成長を願いました。これが、武者飾りの始まりで、こちらもこいのぼりと同様、昭和に入ってから現在の様に精巧な飾りに発展しました。
近年のお飾り事情
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近年の子供の日の商品を見ていると、昭和から平成にかけての住宅事情と人々の意識の変化が見られます。端午の節句のお飾りは、コンパクト化・「カワイイ」化しているのです。
コンパクト化
近年はマンションも高層化し、戸建て住宅でもこいのぼりを立てるほどの敷地の広さがある家は減ってきています。昭和の時代に各家庭が飾っていた真鯉だけで2メートルもあるような大型のこいのぼりなど、飾れる場所がありません。また、高層マンションでは落下事故を懸念してベランダにのぼりを立てかけること自体が禁止されています。そこで、インテリアとして使えるような卓上タイプのこいのぼりが販売されるようになっています。
また、使わなくなった大きなこいのぼりは、化繊などに吊り下げイベントを行っている地域もあります。家庭で使わなくなったこいのぼりの寄付を募っている場合もあるようですよ!
カワイイ化
日本だけでなく、世界が個人の個性や考え方を尊重する風潮に代わってきています。日本の旧来然の「男の子は男らしく」という考え方よりも皆が「自分らしく」生きられるようにと意識が変遷する中で、武者飾りをかっこいいと思って飾る人がいる一方、主にママたちのニーズから家のインテリアに合うようなかわいらしい飾りを好む傾向も出てきました。金太郎の飾りもにっこりと笑っていたり、どこかコミカルな表情の子どもの武士が軍配を振るったりする人形、人気キャラクターが兜をかぶった人形なども人気です。
いかがでしたか?大きなこいのぼりは、ゴールデンウィークのドライブで田舎に見に行き、おうちではかわいいお人形屋こいのぼりを前にして、男の子も女の子も家族みんなでちまきを食べながらお祝いをする、そんなスタイルに変わってきています。しかし、「子供たちに、病気や事故に合わず元気で育ってほしい」という親の願いは昔と全く変わらずこめられているのです。