イケメン妄想イルミデート☆
イケメン評論家の内藤みかさんがお送りするイケメンエッセイ。今回は「イケメン妄想デートストーリー」
イケメン評論家&作家の内藤みかが毎週お送りするイケメンエッセイ。週替わりの今回のテーマは「イケメン妄想デートストーリー」です。
「イケメンとデートしたい!」という女性はとても多いのですが、イケメンと知り合うチャンスがないという人もとても多いです。なので、イケメンとデートしたら、どんなキラキラした時間が訪れるのか、私が妄想をめいっぱい繰り広げて書いてみました! お楽しみいただければ幸いです。
今回のデートスポットは「イルミネーション」!。
女性が、この時期必ず行きたがるのがこちらですよね。
では行ってみましょうっ、妄想ワールドへ……☆
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「……遅いぞ」
待ち合わせた夕暮れの駅の改札に彼はもう来て、私を待っていた。
黒いジーンズに、グレーのコート。それから白のスヌード。
今夜はモノトーンでオシャレしてきてくれている。
彼は真っ白なスヌードで顔を半分隠して、首をすくめて、寒そうにしている。
捨てられた子犬みたいな心細そうなその姿に、胸がきゅんとしてしまう。
「ごめんね」
「寒いんだから遅刻すんなよ。ほら、手がこんな」
……ぎゅっ。
握ってきた彼の手は、氷のように冷えている。
「つめたっ!」
「つめた! じゃないでしょ、こんなに待たせて」
「こんなに、って……。私、5分しか遅れてないよ?」
「俺は20分前から待ってたの。すごく楽しみだったから」
彼はむくれてそう言った。
久しぶりの遊園地。
乗り物好きの彼は、楽しみでしかたがなかったみたい。
私の手を引いて、入園ゲートのほうへと小走りで向かっていく。
その辺りでちょうどイルミネーション点灯時刻になり、辺りがぱあっと、明るくなった。
白とブルーとピンクのライトが園内の至るところに散りばめられている。
遊歩道の木々にも。カフェの外壁にも。それから園内を流れる川の水面にも、ライトが浮かんでいて、どこを見回してもキラキラ輝いている。
「すご~い!」
「すごいね」
彼も嬉しそうに辺りを見回している。
「上から見おろしてみようよ」
彼はまた私の手を引いて、観覧車へと急ぐ。
私たちは丸いゴンドラの中に入った。
中のスピーカーからは、ロマンティックなピアノ曲が流れている。
「わあ……」
高く上がっていくと、眼下には、光の海が広がっていた。
ブルーを基調としたイルミネーションの中に、白とピンクがキラキラと光っている。辺りの建物も木々も、同じ色調に染まっている。
まるで宇宙のどこか別の星に来たかのよう。
「綺麗……!」
「綺麗だね」
ふと気づいたら、私の顔のすぐ右隣に、彼の顔があった。
ふたりして窓に貼り付くようにして、下を眺めていたから、急接近していたみたい。
「うん、綺麗……」
こんなに顔が近いなんて、初めて。
観覧車はいつのまにか一番上のほうにまで来ている。
私の胸の鼓動も最高潮になっている。
彼の唇が、すぐ近くにある。
私たちはいつのまにか見つめ合って、そしてお互いの顔が近づいていって……。
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……な~んてことを考えてたら、ほんとに行きたくなっちゃって!
ということで実は先日、行って来たんですよ。
イケメンさんと、イルミネーションへ!
そして、妄想とは全然違うことになりましたよ。
そのイケメンさんは高所恐怖症で、観覧車に乗れなかったから、なにやらいかがわしい雰囲気にも、ならなかったしね。
何よりすごく寒くて冷えきっちゃって、何度もトイレに駆け込んでしまって、全然いいムードになれなくて……。
「ほら、あっちにもっと綺麗なとこあるから、行ってみようか」
なんて甘い声で囁かれたのに。
「ご、ごめん……もう一回、トイレ~ッ!」
ってね……。
あ~あ、もったいなかったな!
でもイルミはものすごく綺麗だったし、それをイケメンさんと眺められたからそれだけでもいい目の保養になったから、いいの。
みなさんもイルミネーションを観に行く日は、水分を控えめにね☆
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作家/脚本家/イケメン評論家。山梨県出身。
『イケメンと恋ができる38のルール』(ベストセラーズ)、『年下オトコ×年上オンナ』(ゴマブックス)など著書80冊以上。
ラジオドラマ脚本『婚活バスは、ふるさとへ』(YBS)で文化庁芸術祭優秀賞&日本民間放送連盟賞優秀賞。
舞台脚本『男おいらん』はマンガ化や小説化も。イケメン電子写真集『Japanese Hot Guys』ではカメラも。
「内藤みかのイケメンブログ」
http://ameblo.jp/micanaitoh/