イケメン妄想デートストーリー「ふたり鍋」
イケメン評論家の内藤みかさんがお送りするイケメンエッセイ。
毎回、内藤みかが妄想をたくましく展開している、
イケメン妄想デートストーリー。
今回は「ふたり鍋」です!
鍋って……、いいですよね!
2人で同じ鍋をつつくと、同じカマのめしの仲になったというか、
ぐっと距離が縮まった感じがするものです。
その相手がイケメンだったら、感激もひとしお。
ぐつぐつ鍋を煮えさせているその炎が、
2人の未来を照らすキャンドルように輝いてみえるのであります。
さて、イケメンは、鍋を前にすると、どのような動きをするのか。
そしてどんな会話を始めるのか……。
その世界を覗きにいってみましょう……!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2人で入った、個室居酒屋。
今日は寒かったし、鍋、食べてみたいねという話になった。
「どの鍋にしようか……」
彼は、しばらく悩んでいる。
「とり鍋もいいし、野菜鍋もヘルシーでいいね。
でもこの豚バラチーズ鍋も捨てがたいなあ~」
おいしいものが大好きな彼。
メニューに見入っている綺麗な横顔を、私はそっと見つめている。
「……なにがいい?」
「あっ……私は、なんでもいいよ」
「じゃあ、とり鍋にしよ!」
運ばれてきたのは、だし汁が入った鍋と、切り分けた肉と野菜……。
「あっ、僕がやるよ」
彼は慣れた手つきで箸を持って、具材を鍋に入れていく。
綺麗に並べられていて、感心する。
「よく鍋やるの?」
「友達が来たら、鍋にするかな。みんなで食べると楽しいし」
「ふうん……」
女の子とも鍋をふたりで食べたりするのかな?
こんな感じで……。
そう聞きたかった私の心の中を読んだかのように、
「女の子と鍋したのは、初めてだよ」
と、彼は笑った。
「ほら、もうこっちは煮えてるよ」
取り皿に、さっさとよそってくれる彼は、まるでお嫁さんみたい。
私のほうが、女なのに、絶対彼のほうが、手際がいい。
「な、なんか、ごめんね、やってもらっちゃって」
「いいよ。僕が動きたいんだから」
彼は全然気にしてないみたい。
それどころか、なんだか楽しそう……。
「ねえ、またこの店、来ようよ」
帰り際、彼はそうつぶやいた。
「やっぱり豚バラチーズ鍋が気になるよ」
「そうね。また行こう」
「春になる前に行こう? 約束だよ」
彼はそっと私によりそった。
鍋のおかげで、私たちの距離は少し近くなったかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……いかがだったでしょうか。
イケメンは、鍋を前にするとかいがいしく働くことが多いようです。
それは、相手が年上だとか女性だとかも関係ありません。
男同士で鍋パーティーをしている時も、せっせと鍋のお世話をしているのは、
イケメンのパターンが多いようなのです。
これは、なぜでしょうか。
実のところ、会話が苦手、というイケメンは多いのです。
集団でいても、イケメンが中心になってトークを繰り広げている、
そんな光景は、みなさんもあまり目にしたことないのではないでしょうか。
イケメンは隅っこのほうでニコニコと話を聞いたり、
テーブルを片づけたり、場合によってはスマホをいじったり……。
主役ではない立ち位置にいたがることが多いんですよね。
ただでさえイケメンで目立つから、目立たないところにいたいのか、
注目されることはあまり好きではないのか、
それとも皆のお世話をしたいのか。
多分その全部だと思うのです。
皆さん、知ってますか?
保育園の保育士さんや、幼稚園の先生に、イケメンが多いんです!
お世話好きなイケメンは少なくないんですよ。
私は子育てしてるのでちょこちょこチェックしていますが、
本当に最近は男性の保育士さんが増えました!
仕事で疲れて子どもをお迎えに行くママ達の、癒しにもなってます~♡
-
-
作家/脚本家/イケメン評論家。山梨県出身。
『イケメンと恋ができる38のルール』(ベストセラーズ)、『年下オトコ×年上オンナ』(ゴマブックス)など著書80冊以上。
ラジオドラマ脚本『婚活バスは、ふるさとへ』(YBS)で文化庁芸術祭優秀賞&日本民間放送連盟賞優秀賞。
舞台脚本『男おいらん』はマンガ化や小説化も。イケメン電子写真集『Japanese Hot Guys』ではカメラも。
「内藤みかのイケメンブログ」
http://ameblo.jp/micanaitoh/