完全燃焼型!ウィンブルドンのボールガールの掴んだ夢
HER LOVE,HER LIFE Vol.1
飲食業界とIT業界。
あれよあれよと 「命懸け」で駆け抜けてきた。
だからこそたどり着いた、“自分の望むもの”
株式会社メデテ代表取締役
佐々木 美紗(MISA SASAKI) 37歳
2000年 慶應義塾大学環境情報学部卒
日本マクドナルド、CAモバイル、KDDIを経て、2014年株式会社メデテ設立。
恵比寿で漢方ティーをじっくり楽しめるカフェ「メデテ」をオープン。年下のお料理上手なだんな様のいる一児の母。
睡眠1時間半で交通事故を起こす
いつかは店舗運営がしたいと、大学卒業後に入社したのは外食産業。
すぐに店舗運営を任されたものの、その店舗にいるほとんどは主婦や学生のアルバイト。
学生のテンションに流されるように、16時間立ち仕事、睡眠時間は1時間半と、それこそ馬車馬のように働きました。とはいえ、入社1年目でマネージメントを任されたりと遣り甲斐もあり、充実した日々。
しかし入社2年目のある日、疲れすぎていたのか居眠り運転で交通事故を起こしてしまいました。前の車にぶつかってしまったんです。
それでも身体はかすり傷程度ですんだので、仕事再開!と思いきや、母親から
「お父さんが美紗のことが心配すぎて寝れてないのよ!もう仕事辞めなさい!」
と言われてしまいました。
そもそも自分もあまり眠れていなかったのですがお、父親にそんなにまで心配掛けていたのか…、と思い知って初めてこの状況に危惧を感じ、2年で会社を辞めました。
ただ疲れていたし、何も考えていなかったので、その後半年はまさに引きこもり。
大好きなドラクエをやりまくる毎日で、絵に描いたような廃人でした。
「自分の幸せについて、誰か考えてくれ」
と思う日々。
2社目のモバイルコンテンツや広告を扱うIT系の会社では広告営業。
やはり激務は変わらず、夜中の2時頃まで仕事して、デスクにつっぷして、腕を枕にして寝てました。
誰かに指示されてそうなったというより、仕事量が結果的に自分をそうさせているんです。
さらに幸か不幸か会社の地下に提携のスポーツジムがあって、お風呂に入れるので、週6日会社に泊まっていました。
日曜日だけ家に帰って、着替えをいくつか持って、また月曜日会社に行くという毎日。コンビニの下着にはお世話になりましたね、セブンイレブンの下着がいいですよ。(笑)
食事ももちろんコンビニのお弁当がほとんど。もともとファーストフードが好きなので、まったく苦ではなかったですけれど。
いつもただひたすら目の前の仕事をこなしていたので、「今の自分が幸せかどうか?」なんて考えたこともなければ、「もう辞めたい」なんて感情を感じる余裕すらありませんでした。
ただ、
「誰か他の人に自分がどうすれば幸せなのか考えてほしい。
自分ではもう考えるのも面倒」
なんて思ってましたね。それくらい、自分の人生の幸せとかいうことを考えることから逃げていて、ひたすらに仕事に打ち込む毎日でした。
そんな生活が続いたある日、突然お腹に痛みを感じて病院に行くと、
慢性胃炎と十二指腸潰瘍、それに加えて胃にホリープまでできていたんです。その時はじめてこの生活はもう無理なんだなって、気付きました。
目の前のことに集中するタイプ、そして身体が教えてくれるまでで止まれない人間でした。
自分の会社を取り上げられ、2つのことを決めた31歳
その頃、社内で企画していたモバイルコンテンツの課金ビジネスが活況で、電子書籍の立ち上げメンバーに声をかけてもらいました。
28歳の若造、しかも女性が事業責任者になったのです。
社内のやっかみもありました。「俺はお前を認めない!」って怒鳴られたこともあり、わんわん泣いたこともありました。現在のように女性活用推進のムーブメントはなかったので、年下女性の邁進への風当たりは強かったように思えます。
一方で事業はとてもうまくいって、月間1億円の売上を上げられる規模に。この流れにのって「自分より下の子達にもどんどん責任と権限を与えていきたい!」、そう思っていた矢先、せっかく拡大させた子会社をもとの事業部に戻すことになりました。
親会社本体の事業不振を救うため、売上げ堅調な子会社を本体に吸収する、という会社命令でした。
「本体に戻ったら、私含め、みんなの地位がひとつずつ下がってしまう!」
そんな想いも虚しく、100%子会社である以上、親会社の命令は絶対でした。こうして、はじめて子会社の限界に気付くことになったのです。
人生をかけてがむしゃらにやっていたことをいとも簡単に取り上げられてしまう…。
否が応でも、初めて自分の人生に向き合うようになりました。
代表を務めたCAモバイルのグループ会社の仲間たち
「自分の幸せはどこにあるのだろう?」
ふと立ち止まって、自分の人生を見つめ直した時に、自分が人生に求めることが2つ浮き上がってきました。
ひとつは結婚して子どもを育てること。
女である以上、やっぱり結婚して子どもを産んで育てたかった。そんなシンプルな欲求に今まで気付く暇もなかったのです。
もうひとつは起業すること。
自分ががむしゃらにやってきた会社を取り上げられた経験は、かなり自分の中では大きなショックでした。悔しかったですね。サラリーマン社長である以上は仕方のないことだとも分かっていたので。
そうなると残された道は起業でした。