かつてアメリカが取り組んだ「デザイナーフーズ計画」
植物に含まれるフィトケミカルで健康に!
人間、というか生き物は何かを食べないと生きていけません。人間は食生活によって健康に影響を及ぼします。
そのためさまざまな「体にいい食品」が今でも研究、開発されています。その研究の元になった計画がアメリカで1990年代に行われていた「デザイナーフーズ計画」です。
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アメリカで行われた栄養研究の歴史
全米が震撼!「マグガバン・レポート」(1970年代)
アメリカでは1960年代からがんをはじめ生活習慣病が増え続け、それに伴い医療費も増大しました。アメリカの経済が医療費で逼迫しかねない状況まで陥ったためニクソン大統領はがんの死亡率半減を目指し巨額の予算を投入し治療技術の向上に取り組みました。しかし、がんの罹患者は年々増え続け治療ではなく予防医療の取り組みを開始します。
1975年には栄養問題特別委員会を設置しました。この委員会で’77年に「アメリカ合衆国上院栄養問題特別委員会報告書(通称:マクガバン・レポート)」が発表されました。報告書の通称は栄養問題特別委員会委員長であるジョージ・マグガバン上院議員の名前から付けられました。
レポート内の報告では、アメリカ人の健康問題である慢性病は食生活の隔たり(肉中心)が原因で薬で対処できないとされました。
アメリカ人が摂取する大量の脂肪、砂糖、食塩が心臓病、がん、脳卒中などのリスクを高め生命にかかわります。
これは病気の原因が菌やウイルスによって引き起こされるのだと言う考え方が主流だった当時に、食事や栄養の摂取を謝ることで起きることを公の場で明らかにしたレポートです。以降、アメリカでは食事を通じて病気を予防する研究や取り組みが盛んになったのです。
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フィトケミカルの研究開始(1980年代)
栄養問題特別委員会は国立がん研究所(NCI)に対し、栄養(食事)とがんとの関係の研究を依頼、これに伴い’80年ごろからNCIでは、フィトケミカルと呼ばれる食品に含まれる化学物質の研究が開始されました。フィトケミカルは主に植物中に含まれることから、ギリシャ語で植物を意味するphytoを用いてフィトケミカル(ファイトケミカル)とよばれます。
82年には報告書「食と栄養とがん」内で、脂肪の摂取が多くなるとがんを増加させること、がんの予防には野菜、果物、全粒穀物を重視した食生活で効果があると発表されました。
デザイナーフーズ計画発表(1990年)
NCIは植物性食品によるがん予防である「デザイナーフーズ計画」を発表します。
この研究では、野菜、果物、穀類、海藻類などの植物性食品に含まれる数万種類の化学物質のうち、約600種の化学物質にがん予防効果の可能性があると判明しました。
その600種類のうちより予防果の高い食品および食品成分約40種類をピックアップし公開しました。
効果の高い順にピラミッド状に描かれた「デザイナーフーズ ピラミッド」によって食品を分かりやすく分類発表しています。
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デザイナーフーズピラミッドで上位のお野菜は?
ニンニク、キャベツ、甘草、大豆、ショウガ、にんじん、セロリなどです。身体よさそうなお野菜、食品が並んでいますよね!
その他にもタマネギ、お茶、玄米、柑橘類などが第二グループ、第三グループではハーブ類やメロン、ジャガイモ、ベリーなんかも入っています。
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デザイナーフーズ計画がとん挫!(1993年)
この流れを見れば大がかりなデザイナーフーズ計画は1993年にアメリカ政府のNCIに対する予算カットで尻切れ状態になってしまいます。
デザイナーフーズ計画のキャンペーンとしてお野菜の摂取、食生活が改善されたため90~’95年にはアメリカ国民の死亡率は毎年平均0・7%ずつ減少。5年間で2・6%(年平均0・5%)減少しました。
日本で進歩する機能食品研究
デザイナーフーズ計画自体はなくなりましたが、日本では高機能食品に注目した研究が現在でも行われています。
これらの研究はこれからの高齢化社会や痴呆の予防にも効果が期待されていますよ!
体にいい食品、栄養バランスを考えた食生活でキレイに年齢を重ねていきましょうね!