マリリン・モンローが浮気した秘密の香り-Geranium-
丸山レイナ’s Voyage of Fragrance – Vol.2
丸山レイナ’s Voyage of Fragrance – Vol.2
ヨーロッパの町並みでは窓辺に必ずといって飾ってあるゼラニウム。
フランスやスイス、ドイツ、イタリアではよく見かける光景。手入れも簡単で虫除けにもなるのでバルコニーには最適だ。
ゼラニウムとは、もともと南アフリカやマダガスカル、モロッコ、エジプトから17世紀に伝わって来た植物だが、花の部分ではなく、茎から発するミントのように強いグリーンの芳香が時には鉄のような苦味も与える強い香りのため、ヨーロッパで虫除けとしてもよく使用されてきた。
アロマテラピーでも、「女性のためのオイル」と言われるように、女性のホルモンバランスをサポートしてくれる香りとして知られている。
香水でもローズの香りにボリュームを加えるのに足されたりするが、ゼラニウムの香りスキャンダルといえばマリリン・モンロー。
ご存知の通り、マリリン・モンローといえばシャネルの5番。
この香りを心から愛し、「寝るときに着るもの? もちろんシャネルの5番の香りよ」なんて名言は皆様ご存じのとおり。
彼女が他の香りになど興味があるなんて考えた事もないし、想像したこともない人がほとんどだと思うが、1962年、彼女の死後、モンローが愛した靴ブランド、サルバトーレ・フェラガモ美術館で開催されたマリリン・モンロー展で発覚した新たな事実。
彼女が使いにこっそりと依頼して、「ローズ・ゼラニウム オードトワレ」をビバリーヒルズのホテルまで届けてもらって楽しんでいた証拠となる領収書が発見されたのだ。
この香りの発売元のイギリス老舗ブランドのフローリスも、これにはたいへん驚いたという。「マリリン・モンロー
=「シャネル5番」という方程式を覆す事実が発覚し、彼女の隠されたプライベートの一面が死後、明らかになったのだ。
現在、この香りはオードトワレとしては発売されていないが、バスエッセンス、又は石鹸としては現在も販売されているので、気になる方は試してはいかが。
華やかな大舞台ではシャネルの5番をまとい、世界中が彼女に求めるセックスシンボルを演じていたマリリンだが、ケネディ大統領との情事をはじめとし、ピュアに恋に生きる女性として苦悩の日々を過ごしていたとも伝えられる。
一人の恋する女性「ノーマ・ジーン」に戻るプライベートでは、スパイシーながらに優しくもあるゼラニウムの香りに癒され、心の安らぎを取り戻していたのかもしれない。
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TEXT BY 丸山レイナ
ハワイ、ワシントンDC、鎌倉で育つ。慶応義塾大学卒業。ランコムフレグランスプロダクトマネージャーを経て、ヴェルサイユにある調香師養成大学院ISIPCA卒業。パリの香料会社で大手企業をはじめとする世界中の香料開発やマーケティングに携わる。
香料業界をもっと親しみあるものにし、人々に香りの豊かさと楽しさを知って欲しいと、2011年よりフリーランスで活動中。香りの都パリとオーデコロン発祥の地、ケルンを往復する日々。
2006年よりフランス調香師協会(Societe Francaise des Parfumeurs)のメンバー、志野流香道第21代目蜂谷氏に香道を直接師事。
現在、ヨーロッパや日本企業の香りコンサルティングや香料開発を行っている。また独自ブランドでキャンドルを発売中(パリ、ケルン、ベルリン、ロサンゼルス)。
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