例年ひな祭りの季節には、全国でイベントが開始されていました。しかし、今年は多くのイベントが自粛傾向。各地で街歩きをしながら、時代物のお雛様を見ることも、埼玉県鴻巣で毎年展示されていたピラミッド状の巨大ひな壇を見ることもできなくなってしまいました。ただ、こんな時だからこそひな祭りの本来の意味を知って厳かに各家庭でお祝いするのもいいものなのではないでしょうか?
実はひな祭り、単に女の子の成長を祝うだけではないんです。
ひな祭りは中国の暦「五節句」のうちのひとつです。五節句は、「人日」(じんじつ、正月7日)、「上巳」(じょうし、3月3日)、「端午」(たんご、5月5日)、「七夕」(しちせき、たなばた、7月7日)、「重陽」(ちょうよう、9月9日)の五つ。中には日本の文化に根付いたお祭りがありますね。
上巳の節句は日本にわたり、平安時代にはみそぎとして皮で身を清めたりしていました。今のような形のひな祭りになったのは江戸時代と言われています。
また、ひな祭りは別名桃の節句。これも中国の習慣のなごりで、かつて桃で作った「桃花酒(とうかしゅ)」という酒を厄払いとして上司の節句に飲んだのが始まりといわれています。
ひな祭り(上巳の節句)に厄払いをするのには中国の言い伝えが関係しているといわれます。漢の時代ある男性がもうけた女の子3人が、どの子も生まれてから3日以内に死んでしまいます。嘆く男性と、周囲の人々がその子供たちの亡骸を酒で清め、水に流して弔ったということです。
これらの言い伝えが結び付き、ひな祭りには邪気払いをしたり、身を清めたり、女の子の厄除けをしたりという習慣が派生したようです。
ひな人形の「ひな」はもともと小さいとかかわいいとかいう意味の言葉です。ひな遊びは小さな人形で、宮中の様子を模すごっこ遊びとして平安時代には、すでに行われていたようです。
上巳の節句では実際に入水して身を清めるのではなく、紙で作った人型を身代わりに流すようになっていきますが、それがひな人形といつの日か結びつき、人形を飾る習慣に、そしてそのひな人形も江戸時代には現代のような立派ものになっていきました。
ひな祭りは、子供たちの成長をお祈りしたり、厄除けをしたりする意味が本来は込められていました。今年は、外出が限られる分、おうち時間で楽しみを増やしたいところ。ひな人形を改めて丁寧に飾ってみたり、お持ちでない場合も折り紙や和紙で手作りしたりしてみてはいかがでしょう。やさしい気持ちと祈り、家族や身近な人で共有してみてくださいね。
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