『腸内フローラ』が美容と健康に重要な役割を果たしていることは、もはや常識といってもいいですよね。
先日行われた、素材メーカー大手の帝人と、腸内環境のデザインで病気ゼロの社会を目指すメタジェンが共同で行った研究の成果発表では、腸内フローラに基づく医療の可能性などが示唆されました。
腸内フローラは個人情報!
いわゆる腸内フローラと呼ばれる腸内細菌叢。そこにいる菌の種類や数は個体差があって、人間一人一人全く違っています。家族や双子であっても構成や割合は違っているそうです。
無菌状態だった胎児から、だんだん菌の種類も増えたり変わったりして、離乳期あたりには、だいたい大人と同じような構成になるといわれています。菌は増殖していくので、そのバランスが劇的に変わることはありません。
そのため、その時の腸内状態で個人を特定することもできます。例えば、かなりのレアケースだと思いますが、事件現場に「便」が落ちていれば、そこから解析した腸内フローラと、容疑者の「便」から解析した腸内フローラとを照会することで、犯人かどうかを特定できるのだとか!
個人を特定できるなんて、れっきとした個人情報ですね。
「腸」は実は「体の外側」
「腸は内臓」なので当然「体の内側」だと思いがちですが、実は環境的には口から外環境と繋がっているので「体の外側」にあたるのだとか。腸内にいる無数の細菌が食物繊維を消化して栄養素を作り出し、それが吸収されて初めて「体内」に入っていきます。
そのため、吸収される栄養素や腸内フローラの働きを考えるときには、環境要因に注目する必要があるのです。
食卓を共にする家族でも腸内フローラのバランスは違っていますが、その特徴には環境要因、特に長期的な食生活に依存しているそうです。
注目を集める食物繊維「イヌリン」
劇的には変わらないとはいえ、長期的には腸内フローラのバランスを整えていくことができます。
善玉菌のエサとなり、血糖値の上昇や血中中性脂肪の低減が期待できると、最近注目を集めているのが「イヌリン」。チコリなどに多く含まれている水溶性の食物繊維です。
試験管内の培養試験では、チコリイヌリンを加えることによって、酪酸やプロピロ酸といった短鎖脂肪酸、コハク酸の生産が高まる可能性があることがわかっています。短鎖脂肪酸は癌や肥満、糖尿病、免疫疾患を予防・治療する上で重要な役割があると、研究が進められています。
現在、日本では難消化性デキストリンという食物繊維が主流なものの、菌に食べてもらえる(=発酵)率がこちらは50%なのに対して、イヌリンは100%!なんだとか。
薬が効く、効かないも事前にわかる
菌によって生成する栄養素や働きは違います。ある人の腸内の状態を長期的に観察し、体に起こった変化などをみていくと、どの菌がどう影響しているのか?といったことがわかってきます。
現在でも、薬の効果は腸内細菌叢のパターンに依存しているという研究結果があるように、サンプル数が増え、データが蓄積されていくと、腸内状態によって、有効な薬や治療法、予防法などがわかるようになるといいます。
そのための腸内細菌叢の長期的研究やデータを収集するサービス開発も進められているようです。
自分の腸内フローラタイプを知って無病ライフ
「腸内環境の悪化は万病の元」といわれるほど、心身共の健康に深い関わりがある腸内フローラ。自分のタイプを調べると、どんな対策をすれば病気を治療、予防ができるのか?を知ることができますし、知っていることで、健やかに長い人生を送っていくことができるでしょう。美を保つヒントも詰まっている?!
(文:大倉奈津子)
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