日本人の2人に1人が「がん」になるといわれる時代。それは、私たちにも決して低くない確率で、がんになる未来が待ち受けているということ。そんな中、がん治療の新たな可能性として注目されている、キノコ由来の生薬があることを知っていますか?
自然由来の抗がん治療薬認可を目指す「フアイア」とは?
日本では耳慣れない『フアイア』とは、槐(えんじゅ)の老木に寄生するキノコの一種から抽出したエキスを顆粒化した生薬製剤のこと。日本ではまだ「薬」として認可も流通もされていませんが、中国では1992年より抗がん治療薬として保険認可され、すでに大量生産のシステムも整っているそう。
日本の医療界でもトップレベルのエビデンスを積み重ねる研究が進行中
『フアイア』について注目すべきは、現在、日本でも各種がん治療やその他の領域で、医療界におけるエビデンスレベルトップの臨床研究が進行していて、近い将来、日本国内でも“自然由来の抗がん治療薬”として認められる可能性を秘めているということ。その実現に向け、漢方薬の研究・普及にも力を入れている新見正則医師(帝京大学医学部准教授)らは、「日本フアイア研究会」を発足し、『フアイア』の抗がん効果エビデンスを世界中から収集し、日本国内でも研究の可能性を模索しています。
そういった状況の中、2018年5月には、権威あるイギリスの医学専門誌『GUT』に、肝臓がん手術後の患者約 1,000 例に『フアイア(顆粒)』の大規模ランダム化臨床試験を行った結果、生存率で有意差が確認できたと発表され、医療界に衝撃を走らせました。新見正則医師は、『フアイア』の抗がん作用に関して、エビデンスレベルの非常に高い研究結果が確認できたことを受け、医療用医薬品として国内認可を得るため、さらなるエビデンスを積み重ねる動きを進め、今後は国立がん研究センターや東京歯科大学市川総合病院などで、『フアイア』の製造販売後臨床試験を予定しているといいます。
「もしもの時」の選択肢を増やし、より良い選択をするために
『フアイア』は、現段階では日本国内において「がんに効く薬」とはいえないものです。でも、がんになる未来が決して他人事ではない私たちにとって、ナチュラルな抗がん治療薬が生まれるかもしれないというのは、可能性に満ちたニュースのはず。
がんにならないよう、健康的な生活習慣を心がけること、そして早期発見に向けて、こまめに健診を受けることが何より重要ですが、「もしも」の時により良い選択ができるよう、かつてない自然由来の抗がん治療薬誕生の可能性に注目することも、備えのひとつといえるのではないでしょうか。
(文/野田美香)
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